水槽内の栄養と水草について

園芸向けですが、参考になる面白い本を見つけて「これ水槽にも応用できるんじゃ?」という情報を得たので覚え書きしときます。

 

  1. 前提知識
    水槽で魚を飼育していると、魚の餌や排泄物によって水が汚れます。
    この水の汚れは水の中にいるバクテリアが分解することによってアンモニア等の魚に非常に有害な物質を経て、比較的害の少ない硝酸塩等の物質に変化します。
    このバクテリアが繁殖して汚れを分解してくれる所謂「こなれた水」になることが「水槽が立ち上がる」ということです。
    水槽が立ち上がると魚が水槽内で病気になったり死ぬ危険は低くなりますが、代わりに水槽内に溜まった硝酸塩等を栄養としてコケが生えて鑑賞に向かなくなります。そこで水槽に水草を入れてコケの代わりに硝酸塩等を吸収して貰おうというのがアクアリスト水草に手を出す理由の一つになるのではないでしょうか。

  2. 園芸における三大栄養素
    園芸において植物を育てるための肥料として重要な成分は窒素、リン、カリウムの3つであり、これを三大栄養素と呼びます。
    窒素は葉や茎を育てるのに必要な成分で「葉肥え」、リンは花や実付きに使われる「花肥え」や「実肥え」、カリウムは根を張るのに使われる「根肥え」とも呼ばれることがあります。
    園芸で使われる肥料には「8-8-8」という表記を目にすることがあります。これは窒素、リン、カリウムが同程度ずつ配合されている化学肥料ということになります。肥料には他にも実つきを良くするために窒素やカリウムが控えめでリン多め等、育てたい植物に併せた肥料が沢山開発販売されています。
  3. 三大栄養素と水槽の関係
    水草も植物であるので、この三大栄養素が関係してきます。
    前提知識で書いたように魚の餌や排泄物は分解されて栄養源となります。これは窒素系とリン系の栄養分ということはアクアリウム系の各種メーカーやショップのサイトで説明されています。唯一増えないカリウムですが、これは有名な水草用栄養肥料のテトラの「イニシャルスティック」、通称イニ棒の主成分がカリウムなので、根を張る水草の根本にイニ棒を埋め込むことで解消できると思われます。
    これを園芸本で得た知識に当てはめて考えると、窒素系は葉や茎の成長に使われるということで、初心者ご用達であるマツモやアナカリスを始めとした数多の水草を入れることで消費していってくれると考えられます。これで解消できるコケはアオミドロや緑ゴケあたりでしょうか。
    対してリン系はというと、花を咲かせたり実を着ける植物を入れることで消費出来ることになります。ただ室内で植えられることが多い水草では花を咲かせたり実を着ける植物はあまり聞いたことがありません。つまり水草を入れてもリンはあまり減らずに溜まっていく事になります。黒髭コケはリンを養分として育つと言われますが、普通の水草を入れても消費されないリンで育つコケだと考えると納得できますね。

  4. 溜まったリンをどうするのか
    前章で書いたように、水槽内で溜まる窒素系とリン系のうち窒素系は普通の水草で消費出来ると思われます。
    ではリン系はどうするか。花や実を着ける植物を入れるのが一番でしょうが、アクアリウム界隈で探しても中々答えが見つかりません。
    ビオトープで使われる睡蓮やホテイアオイは花が綺麗に咲きリンを消費してくれそうですが、室内に入れて育てようとしてもLEDでは日光が足りないらしく枯れたり、酷い場合は屋外で付いたアブラムシが室内で大繁殖してしまう最悪の結果を招いたことも……。後はメダカが喜ぶ水草として購入したナガバオモダカも花を咲かせる水草アクアリウム界隈ではジャイアントサジタリアという名前で売られてもいますが、枯れずにランナーで増えるものの花は咲きません。
    じゃあどうするのかと考えると、稚魚隔離用のサテライトや上部フィルターの様なものに水耕栽培用のハイドロボールを入れ花や野菜を水槽の水を使って水耕栽培をする案です。

 

ここまで長々と書いてなんですが、案はあるもののLEDで花を着けることが出来、水耕栽培が可能な植物の選定が出来ていないんですよね……。

なんとも締まりが悪い感じですが、分からんものは分からんので多少はね。

冒頭に書いた面白い本ですが、”園芸「コツ」の化学―植物栽培の「なぜ」がわかる”という本です。アクアリウムで使える本という訳でもないのですが、園芸初心者の方なら読むと発見が沢山あって面白いと思えると思いますので非常にオススメです。